Dreamers-夢物語-


あたし、小学3の夏に交通事故に遭ったんだ。
横断歩道を渡っていたら、信号無視をしたトラックが猛スピードであたしに突っ込んできたらしい。
その日は激しい雨が降っていたらしく、視界が悪かった。
運転手からしたら確かに視界が悪い。
でもそのトラックの運転手は、飲酒運転だったみたいでその後逮捕。
事故に遭ったあたしはトラックに跳ねられ、数十メートル跳ばされた。
生死の境目をさ迷っていたみたいだが、なんとか一命を取り留めた。
だけど、その代わりと言ってはなんだが、事故より前の記憶がなくなっていた。
だから、事故前になぜ横断歩道を歩いていたのか、何をしていたのか、そういうこと全て抜け落ちている。
だから、このネックレスも…事故前に誰かに貰ったのかもしれない。
郁はそんなネックレス母さん持ってないって、言ってた気がするし。


「士、2時半になるよ」

「え、あ、うん!行こっか」


郁に呼ばれ、あたしはネックレスをテーブルに置き、リビングを後にした。






< 31 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop