夢の外へ
テーブルにはエビピラフとコンソメスープ。

真ん中にはツナとコーンのサラダ。

「いただきまーす」

2人で食べ始めた。

……濃い。

…味つけが濃い。

「杏樹」

「何?」

「…味、濃くない?」

そう言った私に、
「えっ?」

杏樹は不思議そうな顔をした。

この場に気まずい空気が流れたのは嫌でもわかった。

「…やっぱり、何でもない」

私は答えると、スープを口にした。

味つけが旦那の好みになったのは、仕方がない。

旦那が濃い方が好きと言われれば、仕方あるまい。

結婚すると人が変わると言うのは本当みたいだ。

濃い味の夕飯を片づけ、スマートフォンを弄びながら杏樹と2人ぼんやりとテレビを見ていた。

「――杏樹」

「何?」

杏樹はテレビから私に視線を向けた。

「――結婚って、何?」

「はっ?」

いきなり聞かれれば誰でもそうなるか。
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