夢の外へ
仕事のし過ぎで頭がおかしくなったのかと思った。

しかも相手は総合病院の院長先生。

おじいちゃんかと思ったら相当若かったし。

「私さ、てっきりゴッチと結婚するのかと思ってた。

ゴッチと一緒に住んでたくらいだし、行く行くは結婚するのかなって」

ゴッチとは、杏樹の幼なじみの後藤親太朗(ゴトウシンタロウ)のことだ。

名前が“後藤”だから“ゴッチ”と呼んでるのだ。

「いや、そんなことないから。

親太朗はただの相棒だし」

杏樹がツッコミを入れた。

今でもゴッチと連絡を取りあってるそうだ。

「だから、驚きが二重にすごかったみたいな。

杏樹が結婚する。

しかも相手はゴッチじゃなくてお医者さん。

私、明日テポドンが飛んできたらどうしようって思った」

「テポドンって…」

杏樹が苦笑いした。

すみませんね、表現が古臭くて。
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