夢の外へ
気になるところは、そこだ。

「“あかりって誰?”、って」

千景が答えた。

「ウソ…」

「ホント」

「マジで?」

「マジです」

「ホンマでっか?」

「ホンマです。

…って、何で関西弁なんだよ」

おふざけはこれくらいにした。

私は千景から目をそらすように窓の外に視線を移した。

「俺さ、気にしてるんだって思った。

そりゃ、誰だって何だと思うわな。

通りすがりのヤツを名前で呼んだら、誰だって疑いたくなる。

仕方がないことだ」

「――ったい」

「んっ?」

「もったいぶってるんだったら、さっさと話したら?

言いたくないなら深入りしないし」

素直じゃないな、私。
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