夢の外へ
千景がマイクを持って壇上に立つ。

ペコリと、周りに一礼。

拍手喝采。

千景の顔があがると、拍手はやんだ。

「えーっ。

本日はお忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。

私、冷牟田千景は石塚明日香さんと婚約を…」

「きゃーっ!」

千景のスピーチを中断するように悲鳴が聞こえた。

えっ?

どうしたの?

悲鳴が聞こえた方に視線を向ける。

「ッ!?」

そこには、刃物を持った男がつっ立っていた。

その男の顔を見た私は、声が出てこなかった。

「――ウソ…」

元カレのタカマサだったからだ。

そんな…招待状なんか送ってもなければ連絡もとってなかったのに。

パーティーは招待状がないと入れないシステムだ。

でも、何で…?

みんな怖がってタカマサの周りを避けていた。

タカマサの視線が私に向けられる。

ギラギラした、まるでハイエナみたいな目だった。
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