夢の外へ
「――えっ…?」

――何ですって…?

彼の言っていることが、私にはさっぱりわからなかった。

「俺と結婚するかって、そう聞いているんだ」

今までの敬語はどこに行ったの?

いきなりのタメ口、しかも少し強くなった口調。

この人、クールそうに見えて案外ゴーインなところがあるのかも。

って言うか、
「何で結婚なの?」

それがさっぱりわからない。

「俺と石塚さんの利害関係が一致してるから」

えーっ、何それ。

私は冷牟田さんの顔をじっと見つめる。

冷牟田さんは話を続けると言うように口を開いて、
「俺は決められた相手から逃げようとしている。

あなたは仕事から解放されることを望んでいる。

だからだ」
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