夢の外へ
今さら後悔したって仕方がないだけだ。

だから、もう白状するしか方法がなかった。

「私はおととしに主任と言う肩書きをもらったって言うのに。

その主任もいわゆる名ばかりで、早い話がただの雑用係なんですけどね」

話している間、私は情けない気持ちになっていた。

…もう、最悪だ。

このパーティーのために、なけなしの給料をはたいて張り切って今日のために新しい服を買ったのに。

参加して早々、相手が社長だってわかったから徹底的にアピールをしたかったのに。

あわよくば彼と結婚して、面倒な仕事を辞めて、悠々自適なセレブ生活が送れると思ったのに。

もう最悪だ。

情けなくて涙が出そうだ。

冷牟田さんはそれまで閉じていた口を開いた。

「じゃあ、結婚します?」
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