夢の外へ
不覚にも、私も名残惜しいって思ってる。

そう、感じてしまっている。

「所詮、上辺だけじゃん」

自分自身に言い聞かせるように、私は言った。

千景は、両親が決めた相手から逃げるため。

私は、さっさと面倒な仕事から解放されるため。

お互いが好きと言う理由で結婚するんじゃない。

自分の利益のために結婚する。

「そうだよ、上辺だけだもん」

そう言い聞かせて、もう見えなくなってしまった車に視線を向ける。

「間違っても好きにはならないんだから」

自分自身に言い聞かせた後、私は自宅へと足を向かわせた。
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