夢の外へ
もう…何なのよ!

千景がよくわからない。

グラスにワインを注いだ後、グイッと一気にあおった。

また注いで、またあおぐ。

ヤケになっているのは自分が1番よくわかっている。

千景に怒っていることはよくわかっている。

別に私気にしてないし。

千景の過去に何があろうか、そんなの知ったこっちゃないもん。

酒癖に問題がある。

女癖がすごく悪い。

知らないわよ、そんなもの!


「飲み過ぎじゃねーか?」

「んなもん知らないし~」

千景に肩を抱かれながら、フラフラと店を後にする。

「今タクシー呼ぶから待ってろ」

千景が手をあげたとたん、目の前にタクシーが止まる。

「ほら、乗れ」

タクシーに押し込まれた。

千景も後から乗ると、運転手に行き先を告げた。

手なれたようなその姿は、よっぽど酔っぱらった女の扱いになれてるんだと思う。
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