キミが望むのなら


今じゃないと……


「……わかりました。お客様にはギリギリまで待ってもらいましょう」


「っ!!」


「ただし、遅れたらあなたのこれからに影響するのは理解してくださいね」


「はい、わかってます」


しっかりとおばあ様の目を見て頷く。


「気を付けていってきなさい」


「っ!はい!!」


それから美樹ちゃんに桃香が乗る飛行機を教えてもらい、タクシーで空港に急いだ。


ガヤガヤと賑やかな空港。



周りを見渡すけど、そんな運よく桃香を見つけることなんて出来ない。


それでも、その運に掛けて俺は桃香を探した。



桃香……


桃香……


桃香っ……


何度も心の中で呼びながら、思い浮かぶのは、いつのもあの笑顔。


俺が大好きで仕方ない笑顔。



きっと優しい桃香のことだから、俺の為に笑顔で『バイバイ』なんて言ったんだろ?



あの時……桃香はどんな気持ちだったんだ……?


あの時……なんで俺は、桃香の苦しさに気付いてやれなかった?



なんで俺はっ……



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