キミが望むのなら


『無理無理』と言いながら、少し後ずさりをする。


「桃香にしか、叶えられない夢なんだ」


「そ、それでも無理だよっ!!悠君の夢をあたしが叶えるなんてっ!!」


必死に首を横に振る。



「俺から黙って離れたこと、反省してるんでしょ?」


「そ、そうだけど……」


「だから、桃香は拒否権なし」


「そ、そんなぁ―……」


このうるうるした瞳には俺も弱いけど、今日は許してあげない。



「桃香」


「な、なに?」


「もう、俺から離れないでほしい」


「だ、だから、それはごめんって……」


「そうじゃなくて」


「え……?」


鈍いな……



「俺のそばで、ずっと幸せになってほしいんだ」


「……え」


「俺が桃香を幸せにしたい」


「……悠……くん」


「……結婚しよう」


「っ!!」


瞳を大きく見開いて、驚きとしか言いようのない表情を見せる。


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