血塗れの蝶
「よかったぁぁぁ~!!!」

『…ぉ』

ん?なんて言った?

『…ぉ』

ガラガラッ

「美王さんが目を覚ましたって、
 本当ですかぁぁぁぁ!!?」

「うるさいぞ!!牙籠!!」

「悪ぃ悪ぃ、雄牙。んで?
 美王さんは!?」

牙籠はそう言って、俺を押し退けた。



牙籠は藍桜組・連合の病院の院長。
俺の幼馴染的な奴だ。



「美王さぁぁん!!」

『…ぁ…ぅ』

「美王さん?どうした?」

牙籠が美王にそう言うと、美王は少し考えるようなポーズをして、
すぐに隣にあったテーブルに置いてあった
メモ帳とペンを持って、何かを
書き出した。

サラサラッ

〔声が出ないんです。〕

「えッ!?声が…?」

それを見た牙籠は、慌てだした。

「どうゆうことだ?牙籠、美王の
 状態はどうないんだ?」

「…美王さん、雄牙。冷静になって
 聞いてくれよ?」

急に真面目な顔をした牙籠。

いったい何なんだ…?

「…雄牙さんに1つだけ話して
 ない事があるんです。あの、
 そのぉ~。」

言いずらそうにモジモジしてる
牙籠に、俺は少しキレた。

「はやく言え!!俺を待たせるな!!」

「…わかった。美王さんの状態は、
 精神的になにかショックを
 受けているか、なにか大きな悩みを 1人で抱えすぎて、打たれたときに
 爆発したか…。あと、昔の傷が
 また開いたかで、えっと…、声が
 出なくなってしまってたんだ。」

声が出なくなっただと…?

「美王、なにか心あたりが
あるのか?」

俺は美王にそう言うと、美王は
黙ってしまった。

美王が1回黙ると、機嫌が直るまで
黙ってしまう。

しょうがない。これを使うか……。



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