血塗れの蝶
起きて
美王は今日も眠っている。

そして、俺はいつも通り美王に、
話し掛ける。

「美王…。今な?お前がいなくなって
 組のみんなが暗いんだ。おかげで
 飯もまともに食えないんだよ…。」

『……………。』

「だから、俺なぁ?5kgも
 痩せたんだ。すげぇだろ?」

俺は、美王に問い掛ける。

『………………。』

もちろん、返事はない。



コンコンッ

「誰だ?」

「尚人です。」

「…入れ。」

ガラガラッ

「失礼します。雄牙さん、
 ご無沙汰してます。」

俺は尚人の方へ、体ごと向き直った。

「あぁ。…おや?他のみんなは
 どうしたんだ?」

「今日は俺、1人できました。」

「そうか。」

「美王、まだ起きないんですか?」

「………。」

「すみません。無神経でした…。」

「いや、別に大丈夫だ…。」

さて、俺は抜けるか……。

「あとは2人でゆっくりな?」

俺はそう言って、椅子から
立ち上がった。

「あ、ありがとうございます!!」

そう言って、尚人はさっきまで俺が
座っていた椅子に座った。と、
同時に…。

「み……おう?」

『…ぉ…。』

ハッ

美王の声が聞こえて
振り返ると…。

「美王!!!」

そこには、さっきまで閉じていた目を
パッチリと開いていた、美王がいた。

俺は美王に思いっきり
抱き付いた。

「美王ぉぉぉ~!!!」

ギュュュウッ

『ぐっ…。ぉ、ぃ、ぃ。』

途切れ途切れに何かを言う美王。

「ちょッ!雄牙さん!!美王が、
 死んじゃいます!!!」

「あ゛ぁぁ!!美王、大丈夫か!?」

コクコクッ


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