プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ
 俯いてしまった彼女の側へ屈んで、耳元で追求した。

「そんなに照れるようなこと?」
 耳殻をやさしく包むように唇を寄せると、ビクリと反応を示した。

「……あ、……っ」
「言ってごらん」
「……どんなに疲れていても、愛しあう時間があるとホッとして……」

「つまり、毎日、抱かれたいってこと?」
「そ、そうは言ってないですけど……ただ、素直に」

「じゃあ、全部素直になるべきだよ、美羽。もっと抱いて欲しいって」

 さっきよりも真っ赤に染め上げた顔で、美羽は僕を見つめる。

「今度は何?」
「……もっとキスして欲しい」

 甘え下手な美羽からのおねだりに、僕は目ざめのコーヒーよりも深い刺激を与えられた気分だった。

 彼女とのキスは何よりも僕を癒してくれ、抱えているすべてをそっと積み下ろして、また前を向かせてくれる。

「……愛してる、美羽」

 キスの後は、心から、何度でも告げたくなる。
 美羽はやさしく笑顔を咲かせて、私も、とはにかんだ。

「……もう少し、先でもいいかもしれないな、確かに」

 出かける準備を、と玄関へ向かいながら、靴べらを持って来てくれた美羽の足元を眺める。


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