プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ
「なんですか?」
「君と僕との遺伝子の話」

 先日、日本に帰国して久美の出産祝いに雪中花へ顔を出した。

 小さなやわらかい生命はとても感動的で、凪沙とつけた久美の想いを感じながら、彼女のこれまでにないおだやかな表情、それはまさしく母だった――と振り返る。

「美羽はどんな風に変わるだろうな」
「うーん、溺愛しちゃうかも」

 頬を綻ばせて美羽が言う。赤ん坊を触りながらのはしゃぎっぷりを思い出して、僕は笑った。

「そうなったら僕は……妬けるな、きっと」
「潤哉さんとの赤ちゃんって思うからですよ」

 嬉しいことを言ってくれる。僕はどうだろうか。変わるんだろうか。
 どれほど激しく求めても、愛し足りない。この熱は一体いつになったらおだやかな海のように収まっていくだろうか。

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