天使の舞―前編―【完】
宮田は、キョトンとした表情で立ったままだ。


そんな宮田に、悠は言った。


「俺、ここで働いてやってもいいぞ。」


宮田は、何かに誘導されるように答える。


「はい。お願いします。」


宮田の返事に驚いて、乃莉子は宮田を覗き見た。


「えっ・・・?店長?
どうしちゃったんですか?」


乃莉子に声をかけられて、宮田は我に返ったように、顔を左右に小さく振った。


「あれっ?僕…。」


こうして、悠は何やら不思議な力で、本屋の職を手に入れてしまった。


悠は“どうだ”と言わんばかりに、乃莉子にニッと笑いかけてみせる。


「分かったろ?
俺、すげぇんだぜ?」


乃莉子は、今日何度目か忘れてしまうほどの、大きなため息をついた。
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