スイートなメモリー
天井から吊り下げられたカラビナに続くのは、芹香さんの両手首を固定した革の手枷。
膝に力の入らぬまま、腕の鎖に体重を預けて、目隠しをされたまま荒い呼吸を続ける彼女の衣服は既に乱れている。
前をはだけたブラウスから覗くピンクのブラジャーは、片側の乳房をあらわにしている。その乳房には既に鞭の痕。
スカートは腰の辺りにたぐりよせられ、丸く白い臀部が暗い照明の中で浮き上がる。
左足首には乱暴に降ろされたストッキングとショーツが絡まっている。
リズミカルにぴしゃりぴしゃりと、革と肌がぶつかる音が聞こえる。
学人さんが、ソファに座ってバラ鞭を芹香さんの臀部に振り下ろしていた。
振り下ろされるバラ鞭の音と交互して聞こえるうめき声。
ボールギャグを噛まされた芹香さんの口元から漏れ出る彼女の声と唾液。
つ、と唾液がゆっくり床に向かって垂れ落ちるのを眺めていたら、手に鎖を持たされた。
鎖の出所は芹香さんの首輪で、それを私に渡したのは雪花女王。
「うらやましい?」
戯れに、鎖を思い切り引いてみる。
芹香さんの身体が、ぐい、と私の方へと傾き豊かな乳房が揺れた。
「彼女が? それとも学人さんがですか」
質問に質問で返した私に、雪花女王は返事をせずににやりと笑う。
私は、雪花女王に好意を寄せていたが、彼女は私にこうしたプレイをしたことはこれまで一度もなかった。
バラ鞭の音が止まる。
そちらを向いたら、学人さんが芹香さんの手枷をカラビナから外して、床にくずおれた彼女を抱きかかえて愛でていた。
ボールギャグも外されて、芹香さんの口からは大きな泣き声と、学人さんを呼び求める声が溢れ出した。
学人さんが彼女の身体に爪でもたてたのか、泣き声の中に甘い嬌声が交じる。
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