スイートなメモリー
金曜日の夜を幸せに過ごし、その幸せの余韻に浸りながら土日を過ごし、月曜の朝を迎える。
もちろん俺は早起きだ。
なぜって? それは朝食を駅ビルのコーヒーショップで取るため。
約束はしていないけれど、毎朝あの店で芹香さんが食事を取るのはわかってる。
仕事に行く前のプライベートの芹香さんを一目見たい。
出来れば一緒に朝食を取りたい。
少しでも共に過ごせる時間が欲しい。
あの夜の俺はとても幸せだった。
前崎芹香という人を手に入れることが出来たから。

もちろん完全に手中に収めた訳ではないし、これからどうなるかもわからない。
けれど、数回泣かせて非常に嗜虐欲求を満足させたのは確かだし、なにより、決定権をゆだねた時のあの悔しそうなそぶりといったらもうもうもう!
困ったような様子が愛おしくてならない。
もっと虐めたくなる。
あの夜は芹香さんを三度抱いた。
可愛くて仕方なかった。
声を出さないように必死に耐えて口元を押さえる仕草がたまらなく、途中で何度もその手を押さえ込んでやろうと思ったが今はまだ早いと、俺は代わりに自分の衝動を押さえ込んでいた。
実のところは、芹香さんがシャワーを浴びている間に色々と仕込んでおきたい衝動にも駆られていたのだが、さすがに初回からそれでは引かれてしまうに違いないだろうと俺の中のいくばくかの常識がその誘惑に耐えさせてくれた。
いやしかし。
俺はいずれこの誘惑を耐える必要がなくなると思っている。
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