ラッキービーンズ【番外編】
「もしもし、メイちゃんー?」

「あっ、ゴメン。飲もっか」


八木原くんに不審に思われるのが怖くて、とっさに缶ビールのプルトップを開けてしまった。

八木原くんですらまだ開けていなかったのに。


だけど、そこで留まることもできないから、私は思いきってグッと缶を口につけて中身を喉へと流し込んだ。

八木原くんはすでに何かに勘付いているのか、意味ありげに口角をあげた後、同じようにビールの詮を開けた。


リアちゃんはせっせと鍋の準備をしてくれているというのに、二人を置いて早々と酔っぱらうなんて、私ったら何やってるんだろう。

これって人としてどうなの。


冷静な自分が心の中でため息をつく。


「メイちゃん明日のご予定はー?」

「へっ? 明日!?」


思わず声が裏返る。

明日は水嶋と二人っきりで初めてのクリスマスを……。


い、言えるわけないし!


「そうそう。クリスマスじゃん?」

「クリスマス……」

「暇なら俺とどう?」

「ひ、暇じゃないよ」

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