ラッキービーンズ【番外編】
本当なら私は、水嶋の部屋の合鍵を持っている。
だけど今の私は一切の荷物を持っていないから、当然水嶋の部屋にも入れない。
「どっちにしろ、どこにも行けなかったんじゃん……」
インターホンを前にため息をつく。
やっぱり八木原くんを引きとめればよかった?
ううん、水嶋に誤解されてややこしくなるだけだ。
一人、脳内会議を繰り広げてみるけれど、いい打開案も浮かばない。
水嶋が私を探しに出てきてくれてるんじゃ、なんて淡い期待を抱いて外を見てもドアの向こうの廊下を見ても彼の姿はなかった。
しばらくその場に立ちすくんだあと、意を決してインターホンを押す。
『――はい』
水嶋の声だった。
「あ、あの私!」
『ああ、ドコ行ってたの?』
「ちょ、ちょっとコンビニに……」
『ドア開けとくから入ってきて』
「あ、あの……」
あまりにいつも通りの水嶋の声を聞いて、リアちゃんは……なんて続けられなくなって、私の声はフェードアウトしていった。
そしてそのままインターホンは切れてしまった。
怒っている様子も、慌てている様子もなかった。
「……なんだ」
完全なる私の一人相撲。
いや、八木原くんも乗っかってたから一人ってわけじゃないけど。
だけど今の私は一切の荷物を持っていないから、当然水嶋の部屋にも入れない。
「どっちにしろ、どこにも行けなかったんじゃん……」
インターホンを前にため息をつく。
やっぱり八木原くんを引きとめればよかった?
ううん、水嶋に誤解されてややこしくなるだけだ。
一人、脳内会議を繰り広げてみるけれど、いい打開案も浮かばない。
水嶋が私を探しに出てきてくれてるんじゃ、なんて淡い期待を抱いて外を見てもドアの向こうの廊下を見ても彼の姿はなかった。
しばらくその場に立ちすくんだあと、意を決してインターホンを押す。
『――はい』
水嶋の声だった。
「あ、あの私!」
『ああ、ドコ行ってたの?』
「ちょ、ちょっとコンビニに……」
『ドア開けとくから入ってきて』
「あ、あの……」
あまりにいつも通りの水嶋の声を聞いて、リアちゃんは……なんて続けられなくなって、私の声はフェードアウトしていった。
そしてそのままインターホンは切れてしまった。
怒っている様子も、慌てている様子もなかった。
「……なんだ」
完全なる私の一人相撲。
いや、八木原くんも乗っかってたから一人ってわけじゃないけど。