黒猫*溺愛シンドローム~Plus~


「はぁぁっ?」



また、コイツは…

真面目な顔で何を言っちゃってるのかなぁ?



「襲う…って。
そんなことするのは、アンタくらいでしょ?そもそも鍵が…「開いてたよ?」


「へ…?」


「出入り自由の“人気のない”場所で、そんなに可愛い顔で寝てたら…襲ってくれ、って言ってるようなもんでしょ?」



言いながら、そっと手を伸ばして私の頬に触れて。

まっすぐに瞳を捉えて。



「いい?風歩ちゃんはもう“俺の”なんだよ?」



ゆっくり顔を近づけながら、ヤツは言った。



「だから、触っていいのも俺だけなの」



触れるか触れないか…ギリギリのところで“わざと”止めて。

確認するように私を見つめている。

その瞳は、悔しいくらいに綺麗で…だからこそ、妖艶な光を放っていて…


……ダメだ。




「だから…そのへんはちゃんと気をつけてね?」


「……っ」


「…よし。いい子だね。」



にっこり笑って、私の頭を撫でる“王子様”。

まるで猫にするみたいに……って、

私ってば、なんで素直に頷いちゃってるわけ?





もしかして、完全に



“飼い馴らされて”る?


< 19 / 147 >

この作品をシェア

pagetop