黒猫*溺愛シンドローム~Plus~



「……んーっ。」



―――――朝。


カーテンの隙間から差し込む光と鳥の声。

夜とは違う空気を感じて、なんとなく意識は目覚めているものの…

身体は一向に反応しようとはしない。


“春眠暁を覚えず”とはよく言ったもので…

起きるのが辛いのは冬だけじゃないんだよねぇ。

さっき、目覚ましが鳴った気がするけど…ま、いっか。もう少し寝よう。


布団を引っ張り上げて、再び夢の中へ……

向かいかけた、とき。






『コッケコッコーっ!!』





耳元で…いや、家中に、
大音量で響き渡った…声?


「なっ…何事っ??」


ガバッと。
思わずベッドから飛び起きた私の瞳に映ったのは…



「……あ。起きた?」



にっこりと。

満足気に微笑む“王子様”。

朝にふさわしい爽やかスマイルで…って、感心してる場合じゃなくて、



「朝っぱらから、何っ??」



文句を言うのが先だ。


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