黒猫*溺愛シンドローム~Plus~



「え?ああ…」


一瞬だけきょとんとしたものの、


「昨夜、ちょっと家族でもめて…さ。」


王子は困ったように微笑んだ。


「あんまり眠れなかったって言うか…朝も一悶着あったから疲れちゃって」


家族…?


“ほのぼのホームドラマ”を絵に描いたような“あの”家庭で、一体何を揉めるって言うの?


お母さんはあんなだし、お父さんだって…

あ、あの黒いのか??



「実は、妹が…」


「え?」


「…ううん。いいや。後で話す。」



何?もったいぶって…

妹…?

そう言えば、会ったことないんだよなぁ…



「それより、急ごう?」


「へ?」


「次、数学でしょ?風歩ちゃん今日は当たる日。」


「嘘っ?」



それは出ないとヤバイ。

今度サボったら確実に呼び出しだ。



「ホラ、早く。」



手をぎゅっと握られて、急かされるように屋上を後にする…って、待って。



「私、全然寝れてないんですけど?」

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