黒猫*溺愛シンドローム~Plus~
「…うわっ。」
学校に着いて、驚いた。
玄関を入ってすぐの廊下のところ。
クラス発表の掲示板の前に、ものすごい数の生徒が集まっていたから…
何?この人の多さ。
いつもこうだっけ?
…あー、そっか。
確か、去年は寝坊して遅刻して…
くるみにメールで教えてもらったんだった。
仕方ない。
今年はせっかく、こうして早く来たわけだし。
あの中に……
「さ、行こう?」
意を決して足を踏み出した瞬間、ぐいっと、後ろに引かれた腕。
「えっ?」
バランスを崩しつつも、
「なんで?クラス発表見ないと…」
私の肩を抱くようにして、さっさと進んで行くヤツに問いかけた。
うちの学校は、持ち上がりとかはないから。
毎年、クラス替えがある…はずなんだけど?
「A組、だよ。」
まるで私の心を見透かしたように、くすりと笑って。
綺麗なお顔でさらっと答えた王子様。
「…へっ?」
「俺も風歩ちゃんも“A組”。だから、見なくても大丈夫。」