月夜の翡翠と貴方


ああ言われたら、そうする。


それが、当たり前。


ぽつりぽつりと話していたスジュナの瞳に、仄かに熱がこもった。


「でも、パパと暮らしてたら、どんどんパパが好きになっていったの」


それがとても嬉しい、と感じている目。

「パパはすっごくスジュナに優しいの。怒られたりもするけど、でも優しいの。パパといると楽しいの。だからスジュナも、パパのこと大好きになったの」

幸福に満ちた、顔だった。

嬉しそうに目を細め、頬を緩めて。

拙い言葉で、スジュナはその愛おしい気持ちを一生懸命伝えてくれた。


「パパがスジュナのこと大好きでいてくれるから、スジュナも大好きなの。幸せなの。パパが優しいから、スジュナも優しくなれるの」


私はそんなスジュナの言葉を、目を伏せ聞いていた。

「パパが元気になるから、スジュナは笑うの。明るくいられるの。パパが大好きだから、スジュナは幸せなんだよ」

…こんなに幸せそうな表情を、私は初めて見たかもしれない。

ラサバへの愛を秘めた笑顔は、スジュナがどれだけ幸せかを表していた。



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