月夜の翡翠と貴方
「もうすぐ戻ってくると思うので…待ちますか?」
声をかけると、ラサバは眉を下げて「はい」と笑った。
ふたりで、ベンチに座る。
ラサバを見ると、なんだか落ち着かないようで、目線をきょろきょろと這わせていた。
「……………あの」
そう声をかけてみると、彼は大袈裟なほどびくっと肩を震わせる。
「なんでしょうか…….」
「えっと……ずっと、お聞きしたいなと思っていたことがあって」
「は、はい」
半ば驚いているラサバを見つめながら、スジュナの笑顔を思い浮かべた。
私は、「とても直球で申し訳ないのですが」と前置きをして、言った。
「……どうして、スジュナちゃんを買おうと、思われたのですか?」
訊いて良いものなのか、迷っていたこと。
これは、最初にラサバの話を聞いた時から、気になっていたことだった。
ラサバは少し驚いた顔をした後、ふ、と優しく笑った。
「………では全部、お話ししましょうか」