月夜の翡翠と貴方
川で顔を洗い、水を飲み、考え直す。
…私は、奴隷。
自惚れるな。自惚れるな。
心の中で唱えている間、ルトは不思議そうに私を見つめていた。
「…ほんとにどーしたの」
「別に何も。これといって特にどうもしない」
「……そうですか」
仏頂面を保って、しっかりとして。
ちら、とルトを見ると、やはり何処か複雑な表情でこちらを見ていた。
「…………………ル」
「あー、腹減った!早くここ出よ!」
まるで、こちらの視線から逃れるように。
立ち上がると、ルトはさっさと乾かした荷物を持つ。
「………………」
どうしたのだろう。
昨日から、ルトは様子がおかしい。
…私、なにかした?
あの、触れた手を振り払われたときから、少し気になっていることではあったが。
言ってくれれば、きちんとするのに。
そもそも未だに、ルトの言う『友人』の範囲がどこからどこまでなのか、よくわからない。
最近は、ルトの行動も合間って益々。