月夜の翡翠と貴方
額をルトの胸に当て、ぎゅう、と抱きしめ返す。
…ねえ、ルト。
きっと、近づいてきてるんだよね。
この…旅の終わりは。
*
「…ジェイド〜」
すっかり聞き慣れた声がして。
目を開けて見上げると、苦笑いを浮かべたルトの顔が見えた。
「……………」
「…快眠中すみません。もう昼だからさ」
お昼………ああ。
「二度寝しちゃったんだ…」
「あ、そうなの?」
身体を起こしながら、ぼうっとする意識を戻す。
ルトの身体が離れると、急に意識がはっきりした。
「…ぅ、あ」
「ん?」
寝るんじゃなかったと、今更後悔する。
立ち上がって伸びをするルトは、座り込んで変な顔をしているだろう私を、不思議そうに見つめた。
「どした」
「あ…いや…」
なにを考えているのだろう。
駄目だ。
しっかりしなくては。