月夜の翡翠と貴方


額をルトの胸に当て、ぎゅう、と抱きしめ返す。


…ねえ、ルト。


きっと、近づいてきてるんだよね。

この…旅の終わりは。







「…ジェイド〜」


すっかり聞き慣れた声がして。

目を開けて見上げると、苦笑いを浮かべたルトの顔が見えた。


「……………」

「…快眠中すみません。もう昼だからさ」


お昼………ああ。

「二度寝しちゃったんだ…」

「あ、そうなの?」

身体を起こしながら、ぼうっとする意識を戻す。

ルトの身体が離れると、急に意識がはっきりした。


「…ぅ、あ」

「ん?」


寝るんじゃなかったと、今更後悔する。

立ち上がって伸びをするルトは、座り込んで変な顔をしているだろう私を、不思議そうに見つめた。

「どした」

「あ…いや…」

なにを考えているのだろう。

駄目だ。

しっかりしなくては。


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