淫靡な蒼い月

目を閉じて


わたし、何してるの?


見知らぬ男と、こんなとこにいるなんて……。


「目を閉じてろ」


白いシーツの上で、わたしにそう告げる、知らない瞳。


「目を閉じて、死んだ旦那でも、想像してな」


知らない声。


知らない……手。


……そう。


あなたが逝ってしまってから、もう何年、経つのかしら……。


『若い』とは決して言えないわたし……。


寂しさをうめてくれるだろう子供も、結局できなかった……。


ごめんなさい。


わたし、寂しかったの。


心と体が、別の生き物になってしまった……。


携帯サイトで、簡単に出逢ってしまった“ゆきずり”の男と


わたし『禁断』の扉を開けたの。


だって、寂しい。


寂しかったの……。


今も、きっと携帯がチカチカ光続けてるに違いない。


全部、顔も知らない男の人……。


「目を閉じてろ」


そう、囁かれた後で、優しく唇を塞がれた。


わたし、堕ちます。


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