淫靡な蒼い月

氷のキス



冷たい氷が、彼の口からオレの口へと流れ込む。


二人っきりの部屋。


締め切ってクーラーを入れ、テスト勉強しながら、彼の入れたアイスティーを二人で飲んでいた時


不意にアイスティーを口に含んだ彼が、オレの唇を塞いだ。


冷たさと甘さと、温さが入り交じった刺激と共に、一気にオレたちを包んでいた空気が色を変える。


彼の舌先から放たれた氷は、オレの中へ、そして、また彼の舌へと戻される。


冷たくて甘くて気持ちいい。


ストレートのアイスティーって、こんなに甘かったかな……。


程なくして、氷が完全に溶けてしまうと、甘さだけが残った。


一度、唇を離して、彼が再びアイスティーを口に含む。


今度はあの、トロピカルな香りと味が、オレの口腔内に広がった。


「これ、何の勉強?」


「……保健体育」


絨毯の上に倒される中、クスリと笑ってそう問うオレに、彼が返す。


「じゃ、満点だね」


「俺が教えるんだから、当然だ」


重なった唇に、また、冷たい刺激。


締め切った部屋には誰も来ない。


「もっと……」


オレは、小さくおねだりをして、うっとり目を閉じた。




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