淫靡な蒼い月

遠い愛



きらめくライスシャワーの中


彼女が満面の笑みで、彼の元へと歩んで行く。


僕は、美しい彼女の姿を、たくさんの友人たちの中の一人として見送っている。


彼女が生涯の伴侶として選んだ男は――


僕から見てもいい男。


欠点などない、ナイスガイ。


彼女が幸せなら、僕は、この気持ちが一生、報われなくても構わない。


子供の頃からずっと、彼女を想っていた。


自分のものにしたいと、奪いたいと思った事は、確かにある。


一度だけ、強引に唇を奪った。


だけど、僕たちはそれきり――。


あの時、驚いて泣く彼女に、僕は自分のした事のひどさを思い知った。


奪うのは愛じゃない。


だから、奪わない。


ずっと、見守ってる。


今まで通り傍らで、


良き友人として


それが、僕なりの愛のカタチ


これからもずっと、愛してる。


彼女の幸せを助けるために。


ここで――。




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