淫靡な蒼い月

禁忌の舞



「本当に、後悔しない?」


背中を向けたまま、彼女が言った。


「この先は……地獄よ」


――構わない。


「理性も秩序も、もう、消し飛んだよ」


俺は、後ろから彼女を抱きしめ、ブラウスの襟元に手を滑り込ませた。


「あ――」


手に余る程の柔軟な膨らみが、掌一杯に広がる。


「すきなんだ。あなたが、たまらなく」


そう言いながら、首筋に舌を這わせ、両手で胸を愛撫した。


「鍵――」


「閉めたよ」


まだ、“こういうこと”に不慣れな俺の愛撫でも、彼女には快感らしい。


肌が熱を増したのを、俺は唇で感じた。


「……あたしもすきよ」


彼女がくるりと俺の方を向き、唇を深く塞ぎながら、俺の制服に手をかけ、ブレザーを落とし、ネクタイを外す。


俺も負けじと、彼女のブラウスのボタンを外し、スカートのジッパーを下ろした。


「あなたが欲しい」


唇を離してそう言うと、俺は彼女のブラジャーのホックを外し、まだカッターシャツを羽織ったままの胸を押し付けた。


白を基調とした明るいリビングに響く息づかい。


俺が脚と手を使って彼女のショーツを下ろすと、彼女の突然の加重で、ソファに倒された。


「……いつ見ても綺麗な身体」


俺の上で、彼女がそう言った。


「もっと若い子が、たくさんいるのに……」


「……あなたじゃなきゃ、嫌なんだ」


彼女の指が、ゆっくりベルトを外し、制服のズボンを下ろしてゆく。


そして、甘だるい快感が、俺を飲み込んだ。


過去に味わったどんなことより、甘い舌。


俺はたまらず、声をあげた。


「凄く熱いわ……。若いって素敵ね」


――もう、“あいつ”には戻れないかもしれない。


俺は彼女を引き寄せ、その、ふくよかな胸に顔を埋めた。


彼女が歓喜の声をあげる。


その甘い声に、俺はたまらず、彼女を激しく貫いた。


――くそっ!!


狂ったように突き動かす俺を、彼女がしっとりと包み込む。


「上に乗って」


揺れる乳房を見たくてそう言う俺に彼女が応え、俺たちはソファの上で、踊り始めた。


彼女の髪と胸が、俺の上で舞う。


加重と摩擦の中で、俺はふと、棚に飾られた写真を見た。


「……」


彼女の隣で笑うあいつ――


その隣には、父親らしき男性。


――そう


彼女は……あいつの母親。


そしてあいつは、俺の偽りとなってしまった恋人。


今日初めて、俺は仮病を使って学校をサボり、彼女に逢いに、あいつの家に上がり込んだ。


至福の快楽を求めて――。


禁忌の舞を見るために――






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