淫靡な蒼い月

氷炎



激しくベッドに押し倒し、手首を強く握って唇を奪う


微かに抵抗を見せる体を、加重することで抑制しながら、唇を貪り続ける。


「やっ……」


キスの合間に放たれる言葉は“マイナス”


聞きたくなくてまた、唇で塞いだ。


「ダメ……!」


性懲りもなく嘘をつく唇。


胸を愛撫しながらまた塞ぐ。


好きだ


お前だってこうされるの、好きだろ?


欲しいはずだぜ?


俺が。


ほら、肉体は頗る正直だ。


判ってるはずだぜ?


自分が一番。


昼間は氷を演じる俺


だけど夜になれば炎になる。


お前が俺を変えるんだ。


仕方ない現状を打破できない俺たち


こうして強引に交わらざるおえない。


本当は穏やかに抱き合いたい。


いつか、そんな日がくることを祈りながら、今夜も俺は、嘘をつく唇を氷の炎で塞ぐ。


熱く冷たく、激しく――。


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