淫靡な蒼い月

花嫁



異国の狭い路地、古びた建物が立ち並ぶ壁の暗い隙間で、あたしはしたたか頭をぶつけながら、快感とスリルに酔っている。


胸元には、白髪混じりの頭。


さっきから激しく、あたしを貪ってる。


とても初老とは思えぬ、その肌の熱さとパッション。


周囲が多少気になるけど、早朝だからか、人気はない。


こんな野外の路地で、あたしは抱かれてる。


立ったまま愛撫され、唇を奪われ、そして激しく貫かれ、思わず声が漏れた。


最低限な部分だけを取り払い、乱れてる服。


互いの息づかいがすぐ側の壁に跳ね返ってる。


彼があたしの名前を呼んで、一層激しく、あたしを貫いた。


あたしは思わず、彼の頭を胸にかき抱き、大きく吐息を漏らした。


気づいてる。


彼は気づいてる。


だからこんな朝早くにわざわざあたしを呼び出し、求めるのだ。


あたしの肌に残る、別のTATOO。


――嫉妬。


その証拠に彼は今、あたしの耳朶を噛んでる。


あたしもあなたが好きよ。


だけど、あなたには奥さんと子供がいる。


だから――


あたし


あなたの最愛の息子と寝て、あなたに近づくために婚約までしたの。


“家族”になって、更なるスリルと快感を味わうために。


だから、どちらか一人は選べない。


あなたの“心”と“体”が愛しい。


だけど、彼の若い肉体も愛しいの。


もうすぐ、協会で儀式が始まる。


あたしは二人とも、手に入れるわ。

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