淫靡な蒼い月
ダッフルコートの悪魔


モスグリーンのダッフルコートが、近づいてくる。


何食わぬ顔で


無邪気に


前髪を軽やかに揺らしてこちらに向かってくる。


その瞳の裏の悪魔が既に、あたしを捉えている。


わかっていて、あえて無邪気な顔をしてるのよね。


キミは、罪な子。


「センセ」


後ろ手に鍵をかけ、キミが真っ直ぐ、あたしを抱きしめる。


「はやくしよ。もう、待ちきれない」


可愛い。


だけど、実際に始めると立場はいつも逆。


瞳の悪魔に支配されるのはいつもあたしだ。


唇が触れ


そのまま机に押し倒される。


「さぁ、ショーの始まりだよ」


あたしはうなずいて、ダッフルコートの白い紐にそっと、指をかけた。


ダッフルコートの悪魔に完敗。

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