Seven Colors
「……で、どうやってだすんだよ」
「知らん。思うようにやってみろ」
あまりにも素っ気ない返事である。黒王は使用していた手帳を内ポケットにしまい、アキラの手の平を凝視した。
アキラは納得がいかないものの、やってみる以外の選択肢が思い浮かばず手の平を見つめる。
「ふんっ!」
アキラはとりあえず肘から指の先まで思いきり力を入れてみた。しかし腕は疲れるだけで何の異変もない。
ふう、と一つため息。
自分自身の行為に馬鹿馬鹿しさを覚えるアキラであるが、黒王は全くそのような目で見ていない。
(ったく。やっぱり変な幻覚だったんじゃねえの?)
今度は指を鳴らしてみる。中指の腹と親指の腹を合わせ、弾く。合わせ、弾く。合わせ、弾く。
何かが破裂したような心地よい指の音が何もない静かな部屋で響く。炎はおろか、火花すら散らない。
「お前は本当に真面目にやっているのか?」
「やってるよ! こんなことを真面目にやってるだけでも凄えよ俺は!」
ぐぬぬ、とアキラは目の前の見物者を睨むが、動じる筈がない。
アキラは睨むのを止め、眉間にシワを寄せながら固く目を閉じた。
(考えろ、考えろ俺。炎だろ? よく上級コックが調子にのって出してる炎。あれを手からこう、ボッと)
ふと、アキラが想像していた“ボッ”という音が耳を掠め、アキラは目を開いた。
「おお、そうそうこんな炎だよ。ちょうど手の平サイズのこんな……こんな?」
自分自身の言葉に疑問を抱いた。
そして、目の前の状況を頭が理解する。
理解しがたい、確かな現実を。
.