Seven Colors

「ちょ、うわわわわわ!」


 手の平から噴き出すように燃える炎を視野にいれた瞬間、アキラから冷静という二文字は燃え消えてしまった。

 当たり前である。タネも仕掛けもない自分自身の手から突然炎が噴き出せば誰だって焦るものだ。

 手を振り回し炎を消そうとするアキラであるが、相変わらず冷静な黒王に腕を抑えられる。その細腕に似合わぬ握力は混乱するアキラの腕をも簡単に制止させた。

 次第にアキラも冷静を取り戻し、煌めく炎を見つめる。大きな瞳に炎の輝きを反射させ、アキラはふと、あることに気付いた。


「……熱くねーや」


 その言葉を聞いた黒王はそっと腕から手を離した。もうアキラは腕を振り回したりしない。それどころか炎を少しだけ顔に近づけ、炎の筋を眺めているようでもある。

 再び手帳を取り出した黒王は一枚の紙を手帳から破り取り、少し棒状になるようにくしゃりと丸め、アキラの炎に近づけた。

 その端が炎が触れ合った瞬間、紙は炎を受け取り先端からその身を炭に変え始めた。紙が真ん中辺りまで燃えたところで黒王が息を吹き掛け、小さくなった紙をごみ箱へ放った。


「どうやら熱くないのはお前だけらしいな、炎は本物だ。もう消していいぞ」

「消すって、どうやって?」

「机に引火だけはするなよ、お前の嫌いな水が必要になる」


 黒王はアキラの言葉に聞き耳をたてていなかった。

 最後の一言に肩を震わし、炎が消えるように念じると炎は自然とその姿を消したのであった。


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