Seven Colors

 黒王が何も言わずに手帳をめくっているので、アキラは自分の右手を眺めていた。

 炎を出そうと念じれば炎が噴き出し、消えるように念じれば消える。

 暴走時に身体が燃え上がっていたのは、怒りと悲しみに狂っていた精神が炎を制御出来ていなかったということだろう。

 むしろ、暴走をきっかけにストッパーが外れたというべきか。

 そんなことを考えたところで答え合わせは叶わない。アキラは一つため息をつき、重々しく口を開いた。


「なんでこうなったんだろう……」


 アキラはちらりと黒王の様子を伺ってみた。

 反応なし。ため息混じりのその一言は黙秘を貫く黒王への問い掛けも兼ねていたのだが。

 炎について“心あたりがある”と言った、黒いスーツを纏う人間、黒王。

 アキラの脳裏に“黒王=ただ者ではない”という方程式が描かれようとするものの、沈黙が続けば何も進まない。

 一刻も早く、自身から噴き出す炎の答えを知りたいアキラとしては、黒王が何か知ってはいないかと期待して待つしかなかった。


「どうせだったら、何かに使えたらいいのになー」


 たった一言。それだけで人は考えを変えたり、決断したりするものである。

 アキラにとってそれは何気なく、ぽっと口から出ただけの一言。

 しかしそれは、黙秘を貫きながらも、実は真剣に悩んでいた黒王にある決心をさせたのであった。


「本当にそう思うか、暁」


 その瞳、正しく“警察の瞳”である。


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