Seven Colors

 アキラが見たものは、紅に光る自身の瞳であった。本来は黒混じりの茶色であるはずの部分が、指先の炎のように赤と僅かな黄色のグラデーションを奏でている。

 もちろん、炎を出す前はいつもの瞳であった。変わったのは炎を出した瞬間。

 アキラは見ていたのだ。先程手から炎を出した際に、黒王の水晶のような黒い瞳に映る自身の瞳を。


「今から三年前の話になる」


 振り返るなりアキラは慌てて炎を消した。いつの間にか部屋に入っていた黒王はそっと扉を閉め、扉に背を預けた。外から誰も入ることは出来ないように。


「何が三年前?」

「いいから黙って聞け。三年前、ある一人の人物がいた」


 黒王はハッキリとした口調で語り出した。口を封じられたアキラはただ聞き手に回る。


 * * *


 三年前。前といっても、違うのは年月日のみでたいした変化はしていない。僅かに流行が変わり、生物が歳をとったぐらいだ。

 平和そのものであったこの世に似合わぬその人物は、突如この地に降り立った。


「弱いなあ。誰一人として俺には勝てないじゃないか」


 それが、その人物がぐるりと世を見渡し最初に抱いた感情。

 自身も人間でありながら人間は弱いと罵った。

 事実、その人物は強かった。いや、強いというものではない。もはや人間という生物の能力を越えている。異能。そういうしかない。

 自分はこの世では誰よりも強い。そう自覚したその人物が次に抱いた感情は、人間という生物をよく表していよう。


「全部、俺の物にしてしまおうか」


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