Seven Colors

「ま、まさか、その年月って」


 声を震わせるアキラの問い掛けに、黒王は右手の指を三本立てて答えてみせた。三ヶ月? いや違う。勿論、三年だ。

 アキラは目を見開いて自身の身体を凝視した。得体の知れぬ、この世の生き物かもわからない人間に能力をなすりつけられたというわけだ。それも野望の為。自身は一寸も望んでいない野望の為に。


「この話をするかどうかは悩んでいた。変に知識を与えるよりは、適当に罵って能力を使わないようにさせるべきか。しかしその能力を使いたいと言うのなら……」


 そう言って黒王が机に一枚の紙を置いた。白色の紙に黒い文字の羅列。普段ならアキラがご遠慮しそうな気難しい文面である。

 アキラはそれを手に取った。黒王はその様子をじっくりと見守って――監視して――いる。

 乏しい語彙力と惨めな漢字能力を持つアキラであるが、その紙の頭に書かれた明朝体の文字は読めた。

 “契約書”その漢字三文字は。

 黒王は戸惑うアキラの瞳を見て、告げた。


「父親殺しの事件について、我々はお前が望む限りの情報を与える。お前はこれから一人だろう、衣食住も提供しよう。その代わりお前は協力してほしい」


 それはアキラにとって実に好条件であった。知りたくて仕方がない事件の真相に自ら迫れる。本人も忘れつつあったが今後の生活の心配もない。

 それらの条件のもと、出される条件……。

 アキラは口の端に残る唾を飲み込んだ。


「この人物について調べながら、他の能力者を探してほしい。勿論、奴の手中に入る前にな」


 言葉の最後に付け加えた。



「我々と契約しよう。公の我々ではなく、裏の我々と――」

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