ビター・スイート・ラヴ
 好きなオートバイに乗れて、しかもお金が貰えるなんて夢のような話し
だった。



 やっと自分が探し求めていた仕事の輪郭が見えてきたような気がした。



 彼女から不定期ながらも仕事を貰えるようになった。それをきっかけに、
他の編集者からも徐々に依頼が増えてきた。



 そんなある日、編集長からカメラマンの谷川を紹介された。



 谷川はフリーカメラマンで幾つもの雑誌や広告の仕事を抱えている、
売れっ子カメラマンだった。



 二度目に谷川に会ったのは、取材に来ていたモーターショーの会場でだっ
た。谷川は屈託の無い笑顔を下っ端の真紀にも向けてきた。



 この業界の人間は皆、年齢不詳で谷川が何歳なのか真紀には見当もつかな
かった。谷川は少年ぽさと大人の男の色気が混在した魅力的な男性だった。



 真紀と谷川は何度か仕事で顔を合わす内に妙に気が合った。真紀は仕事の
相談をよく谷川にした。谷川はあくまでも冷静に適切なアドバイスをしてく
れて今まで真紀が知っている異性の中で最も気の置ける存在になった。



 以前、取材先で谷川と食事をしている時のことだった。
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