イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
お母さんはしばらくあたしを奇妙な目でみつめていたけど。

やがて言った。


「健診と出産費用と入院費と……

あともろもろの検査費用と、モノもいろいろ要るからね。

そうね、60万くらいかな、今なら」

「ろろろ60万!?」


想像以上の金額に、開いた口がふさがらない。


「でも40万ちょいは補助があったはずよ。

だから、手元に20万もあれば大丈夫じゃないの」

「……なるほど」


あたしはうなずいた。

予備調査終わり。


「ちょっと、拓海と散歩でも行ってくる」

「あ、そう。気をつけてね」


あたしは2階の自分の部屋に駆け上がって、財布に手持ちのありったけの現金を入れた。

きゃっきゃっと喜ぶ拓海を自転車の後ろに乗せて、目指す本屋へと向かう。
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