イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
「ありがとう……」


拓海の胸に顔をうずめて、あたしはまた、ただただ泣いた。

肩にかけられた手のあたたかい体温を感じながら。



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あたしたちは木の幹を背に地べたに座って、ひたすら語り合った。

小さい頃あったこと、思ったこと、感じたこと。

いろいろな二人だけの秘密。

もうひとりの拓海が、言葉にならない領域で感じてた、いろいろなこと。

あたしがどれだけ拓海を大事に思っていたか。


15歳と4歳の、11の歳の差があったせいで、お互い言葉にしていなかったようなことを、ひとつひとつ言葉にして。


いつの間にか周りがとっぷりと暮れて、月と街灯の光だけがあたしたちを照らすようになっても。

お互いの存在をスポンジが吸い尽くすように、ただひたすら語り合った。


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