イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
「オレはミソラのおかげで今があるわけだけどさ。

ミソラがあんなに悲しむのなら……

今のオレにどれだけの価値があるのかって」


言葉を切って、悲しげに首を振る。


「それで、元に戻せないかって。

オレはどうなってもいいから、ミソラを悲しませたくなかったんだ。

ミソラがいいなら、それで……」


「……ちょっと、何言ってるの?」


「でも、いざとなったら、できなかった」


黒い目が、少し伏せられたまぶたに隠れた。


「今の自分が……

オレが消えてしまうのが怖くなって……

迷っているうちに――」


「……もう!」


あたしは思わず、拓海の肩を手のひらで叩いてた。
< 140 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop