イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
ちょっと離れたところの橋を走って向こう岸に渡る。

橋の横の階段をたたたっと走り降りて、橋の下の暗がりで目立たないようにスタンバイした。

あたしのそんな不審な行動にも、お互いしか見えてないカップルには何でもないみたい。


(やっぱり美咲姉ちゃんかも)


何か話しながら歩く二人は、どんどんこっちに近づいてくる。


ドク…ドク…ドク…ドク


自分の心臓がはねる音が聞こえる。


(相手は……どんな人?

似てるのかな? 拓海と)


橋の下の暗がりから、精一杯目を凝らして相手の顔を見ようとした。

見ようとして――


(あ!!)


(あれは――)
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