イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
もうちょっとで大声を出すところだった。

思わず手で口をふさぐ。


あたしが会ったときよりだいぶ若くって、まだまだあどけないけど。

見間違えようもないこの顔。

この人――


本屋の、あの超イケメン店員だ!


(すごくかっこいい人なの)


美咲姉ちゃんの、熱っぽいまなざしがまぶたの裏にちらついた。


(まぁ、顔はいいよね)


思わず納得して、ひとりうなずく。

あの人と美咲姉ちゃんじゃ、拓海が美少年になるはずだわ。


(面食いだったのね……美咲姉ちゃんは)



やがて二人は、橋の近くで軽く手を上げて別れた。
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