イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
……って、もう声掛けちゃったのに、何をいまさらごちゃごちゃと。遅いよ。


「……何? あんた誰?

なんで俺の名前知ってんの」


うざ、とでも言いたげな目付きはこのころも同じ。


(う……あたしこういう男ニガテ)


なぜか、忍者くんの、まっすぐにあたしを射抜く真剣な瞳が脳裏にちらついた。


「……あの」


うっとうしそうな疑いの目に、あたしは緊張して唇を湿す。


「あの……彼女さんとうまくいってなかったりします?」

「……は?」


あちゃ。

あたし、いきなり何言ってるんだろ。

失敗だ、失敗!


「あの……さっき外で顔を見かけて、そう思ったの。

別れたいとか、思ってたりしないですか?」
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