イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
思考が停止する。


「ちょっとこっちに来てよ」



もう一人のあたしは、あたしの手をぐいぐい容赦なく引っ張って、マンションから外へ出た。

マンションの横の細い路地に入る。


「ちょっと、何よ。

これ、一体どういうこと?

なんで邪魔すんのよ」

「……あんたが余計なことしたから話がややこしくなってんのよ」


もう一人のあたしはあせってるように見えた。


「は?」

「いいから、いったん戻って頭冷やしなさいよ、ばか!」

「ばかとは何よ!

あたしがバカならあんただってバカでしょ!」


わめくあたしの手首をぐいっとつかむと。
< 62 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop