イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
「……あんたが余計なことしたから話がややこしくなってんでしょうが」

あたしはあせって叫んでた。

もう一人のあたしは目を丸くする。


「は?」

「いいから、いったん時間を戻って頭冷やしなさいよ、ばか!」

「ばかとは何よ!

あたしがバカならあんただってバカでしょ!」

「さ、帰って帰って」


あたしは、”あたし”のリストバンドの矢印を探して、手首をひねった。


「ちょちょっと、痛いって!

もう、分かった、自分でするから、離してよ!」

「いいから、あんたは現在に戻って!」


目をつり上げて怒る”あたし”を、あたしは思わずシッシッと手で追い払ってた。



急いでマンションの入り口から入ると、若いイケメン君は、階段の下でひとりぽかんとしてた。


「あの……入江さん」
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