イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
……そうだった。

この二人、結婚して、すぐ近くのマンションに住んでるんだった。


(よかった、別れなかったんだね)


新しい記憶があたしにじわじわと襲ってきた。

どうやら、何かを見たきっかけに新しい記憶が融合するみたい。


(それにしても、怖い……)


自分のちょっとした言動が、こんなに人の未来を変えてしまうなんて。


すぐにでも拓海に会いに行こう。

早く拓海の顔を見ないと、落ち着かない。

あたしは携帯でハガキの電話番号に掛けた。


「なに? ミソラ」

「ちょっとごめん、今から行っていい?」

「え? もちろんいいけど、どうしたの、急に」

驚く美咲姉ちゃんの甘ったるい声への返事もそこそこに。

あたしは期待に胸をふくらませて、ふたたび自転車を飛ばした。
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